整備工場の売上は、入ってきた車を直すだけでは伸びにくくなっています。同じお客様に、次に必要になる整備を前もって伝え、乗り換えの時期には車の提案もする。そのための材料は、すでに自社の整備履歴(車歴)の中にあります。この記事では、車歴を提案に活かすときに見るところ、伝え方、つまずきやすい点を、整備工場と車販店の実務に沿って整理します。後半では、お客様の前や作業場で履歴を確かめる方法として、整備システム・整備ソフト DREAM POWER の「スマホで車歴」と「お出かけDP」を紹介します。
整備履歴(車歴)を提案に活かすとはどういうことか
車歴とは、1台の車について、いつ、何キロのときに、どんな作業をして、どの部品を使ったかを積み上げた記録です。整備工場では作業のたびに伝票を作るので、車歴は意識しなくても少しずつ貯まっていきます。ただ、貯まっているだけで、次の入庫のときに誰も見ていない、という工場は少なくありません。
提案に活かすというのは、この記録を「次に何が要りそうか」「このお客様には何台の車があるか」「前回何を見送ったか」という問いに答える材料として使うことです。お客様から見ると、言われるがままに部品を替えられるより、前回の作業と走行距離を示されたうえで「次はここです」と言われるほうが納得しやすくなります。提案の押し売り感が減るのも、履歴を根拠にする利点です。
整備履歴(車歴)を使った提案の考え方
整備履歴(車歴)を使った提案とは、1台ごとに残っている作業日・走行距離・作業内容・使用部品の記録から、次に必要になる整備や、乗り換えの時期を前もってお客様に伝えることです。提案の根拠が「前回の作業」と「今の走行距離」になるので、お客様は判断しやすくなり、整備工場は勧めにくさが減ります。見る項目は、交換から時間や距離がたっている消耗品、前回お見積りして見送った作業、同じお客様が持っている他の車両、の3つが中心です。どれも新しく調べる必要はなく、自社の伝票にすでに書いてある情報です。
車歴から次回交換時期を提案するときに見る項目
消耗品の交換時期は、車種やメーカーの指定、乗り方によって変わります。ここで大事なのは、自社で一律の目安を作って当てはめるより、車ごとの取扱説明書やメンテナンスノートの基準と、その車の前回作業を突き合わせることです。車歴から読み取れるのは「前回いつ、何キロで替えたか」で、そこに今の走行距離を足すと、次の提案時期が見えてきます。
| 車歴で確かめること | 提案につながる問い | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 前回の交換日と走行距離 | 前回から何か月、何キロ走ったか | 走行距離の記入漏れがあると比べられない |
| 使った部品と品番 | 同じ部品で足りるか、仕様は変わっていないか | 社外品か純正品かが伝票から読み取れない |
| 点検時の指摘事項 | 前回「次回要交換」と伝えた箇所はどこか | 口頭で伝えただけで記録に残っていない |
| 見送った見積 | 前回断られた作業を、今回どう伝えるか | 見積を消してしまい、内容が残っていない |
| 入庫の間隔 | 次の入庫はいつ頃になりそうか | 他店で整備した分は履歴に出てこない |
表の右側にあるとおり、提案に使えるかどうかは、普段の伝票の書き方で決まります。走行距離を毎回入れる、点検で気づいたことを一言でも残す、見送った見積を消さずに取っておく。この3つを続けるだけで、半年後、1年後の提案材料が増えていきます。
車検の時期も提案の大きなきっかけです。2025年4月1日に道路運送車両法施行規則が改正され、車検証の有効期間満了日の2か月前から受検しても、残っている有効期間が失われなくなりました(国土交通省近畿運輸局の発表による)。満了日の2か月前の時点で車歴を見て、車検と一緒にできる整備を早めに伝えておくと、入庫の予約も取りやすくなります。
次回交換時期の提案で車歴から読むもの
次回交換時期を提案するときは、車歴から「前回の交換日」「そのときの走行距離」「使った部品」を読み、今の走行距離と経過月数を足して、車ごとの取扱説明書やメンテナンスノートの基準と比べます。一律の目安だけで伝えるより、その車の記録を根拠にしたほうがお客様は納得しやすくなります。車検は2025年4月1日から有効期間満了日の2か月前から受けられるようになったので、2か月前の時点で車歴を見直し、車検と一緒にできる整備をまとめて伝えると、予約と提案を同時に進められます。前提として、伝票に走行距離を毎回入れておく必要があります。
保有車両から広げる提案:1台のお客様を1世帯として見る
車歴を車1台ずつで見ていると気づきにくいのが、同じお客様が持っている他の車です。ご主人の車は車検で入っているが、奥様の軽自動車は別のお店で整備している。法人のお客様なら、営業車のうち数台だけが自社に入っている。こうした状況は、顧客と車両がひもづいて登録されていれば一覧で見えてきます。
- 同じお客様の別の車の車検満了日が近い場合は、まとめて入庫の予約を提案する
- 家族の車が自社に入っていない場合は、点検の案内を出してよいか確認する
- 法人のお客様は、自社で整備している台数と、全体の台数の差を把握する
- 年式が古く、走行距離が伸びている車は、乗り換えの相談につなげる
最後の乗り換えの相談は、整備と車販の両方をしている店ならではの提案です。車歴に「今後かかりそうな整備」が見えていると、修理を続けるか乗り換えるかを、お客様と同じ材料を見ながら話せます。ここで車両販売システムや車販ソフトの在庫情報が手元で見られると、話をその場で一歩進められます。
保有車両の情報を案内に使うときは、お客様から取得した情報の利用目的の範囲で使う点にも気をつけます。電話やSMSでの連絡の進め方はお客様への電話・SMSを個人のスマホ電話帳に頼らない方法で書いています。
過去の作業と見送った見積をどう提案に戻すか
提案の中で一番成約しやすいのは、前回お客様が「今回はやめておきます」と見送った作業です。お客様はすでに説明を一度聞いていて、必要なことも分かっています。足りなかったのは時期と予算のタイミングだけ、ということが多いからです。
ただ、見送った作業は、記録に残しておかないと次の入庫のときに誰も思い出せません。前回の担当者が休みの日に入庫すると、そのまま話が途切れます。見積を作ったら、成約しなかったものも消さずに保存し、整備履歴と同じ場所で見られるようにしておくと、誰が受付に立っても話を引き継げます。
伝え方にも工夫が要ります。「前回お伝えしたところ、まだですよね」と迫るより、「前回の点検で、ここが少し気になると記録しています。今日見たら同じ状態でした」と、記録と今の状態を並べて話すほうが、お客様は判断しやすくなります。記録を見せながら話せるかどうかで、提案の受け取られ方はかなり変わります。
見送った作業を次回の提案に戻す手順
前回お客様が見送った整備は、説明を一度聞いているぶん、次回の入庫時に成約しやすい提案です。そのためには、成約しなかった見積を消さずに残し、整備履歴と同じ場所で見られるようにしておきます。次の入庫時には、担当者が誰であっても、前回の指摘内容と今回の状態を並べてお客様に伝えます。「前回ここが気になると記録しています。今日も同じ状態でした」と、記録を根拠に話すと押し売りに聞こえにくくなります。見送りの記録が残っていない工場では、まず伝票に一言残すところから始めます。
車歴の確認方法と限界:紙のカルテ・記憶・事務所への電話
車歴を提案に使う場面は、事務所の机の前とは限りません。作業場でお客様の車を見ながら、引き取りや納車でお客様の自宅に行ったとき、法人のお客様の駐車場で営業車を見せてもらったとき。提案のタイミングは、むしろ事務所の外で来ます。そのとき履歴を確かめる方法と、その限界を並べると次のとおりです。
| 確認方法 | よいところ | 限界 |
|---|---|---|
| 担当者の記憶 | すぐ答えられる | 担当者が休み・退職すると消える。日付や品番があいまい |
| 紙のカルテ・伝票の控え | 手元で見られる | 持ち歩くと紛失のおそれがある。最新の伝票が入っていない |
| 事務所に電話して調べてもらう | 正確な記録を見られる | 事務員の手が止まる。夜や休日は確認できない |
| ノートパソコンを持ち出す | 事務所と同じ画面で見られ、入力もできる | 持ち出しのルールと端末の管理が要る |
| スマートフォンで閲覧する | 片手で数秒で見られる | 見るだけで、入力や見積作成はできない |
どの方法にも一長一短があります。記憶や紙の控えは手軽ですが、属人的で、提案を会社の仕組みにするには向きません。電話で事務所に聞く方法は正確ですが、確認のたびに2人分の手が止まります。「その場で見る」と「その場で入力する」を分けて考え、それぞれに合った道具を用意するのが現実的です。
お客様の前で車歴を確かめる:スマホで車歴とお出かけDP
整備システム・整備ソフト DREAM POWER を使っている整備工場・車販店なら、事務所の外で車歴を確かめる方法が2つあります。
一つはスマホで車歴です。整備システム・整備ソフト DREAM POWER に登録してある顧客・車両・車歴(整備履歴)を、スマートフォンやタブレットのブラウザで閲覧できます。サイトにアクセスしてログインするだけで、アプリのインストールは要りません。作業場で前回の整備で使った品番を確かめる、外出先で保有車両や残高を確かめる、といった使い方ができ、複数の端末で同時に閲覧できます。閲覧のみで、編集や追加はできず、顧客・車両・車歴以外の情報は見られません。データは1日1回自動で同期され、当日の作業を急いで反映させたいときは「データ同期開始」ボタンで同期できます。
もう一つはお出かけDPです。整備システム・整備ソフト DREAM POWER がインストールされているノートパソコンを、VPNの暗号化通信でそのまま外へ持ち出して使うオプションで、整備履歴の確認から見積作成までいつもどおり操作できます。車歴を見て「次はここです」と伝えたあと、その場で見積を出してお客様に判断してもらう、という流れが作れます。スマートフォンにはインストールできないので、スマートフォンで見る場合はスマホで車歴を使います。
| 提案の場面 | 向いている方法 |
|---|---|
| 作業場で前回の作業と部品を確かめて、お客様に一言伝える | スマホで車歴 |
| 納車先で同じお客様の別の車の状況を確かめる | スマホで車歴 |
| お客様先で車歴を見ながら、その場で見積を出す | お出かけDP |
| 乗り換えの相談で、在庫を見ながら条件を詰める | お出かけDP |
スマホで車歴の具体的な使い方は整備履歴(車歴)をスマホで確認する方法、作業場での品番確認は作業場で前回使った部品の品番を確認する方法にまとめています。
整備システム・整備ソフト DREAM POWER で車歴を提案に使う2つの方法
整備システム・整備ソフト DREAM POWER の車歴を事務所の外で提案に使う方法は2つあります。スマホで車歴は、顧客・車両・車歴をスマートフォンやタブレットのブラウザで閲覧する仕組みで、作業場やお客様の前で前回の作業や保有車両をすぐ確かめられます。閲覧のみで、データは1日1回自動で同期されます。お出かけDPは、整備システム・整備ソフト DREAM POWER が入ったノートパソコンをVPNで外へ持ち出し、車歴を見たうえで見積までその場で作るオプションです。見て伝えるだけならスマホで車歴、その場で見積まで出すならお出かけDP、と分けて使います。
よくある質問
- 整備履歴(車歴)がほとんど残っていない場合、どこから始めればよいですか?
- 次の入庫から、走行距離・作業内容・使った部品・気づいた点の4つを毎回残すところから始めます。過去の分をさかのぼって入力するより、これから入る記録を揃えるほうが、半年から1年で提案に使える量になります。
- 次回交換時期の目安は、自社で決めた一律の基準でよいですか?
- 車種やメーカーの指定、乗り方で変わるので、車ごとの取扱説明書やメンテナンスノートの基準と、車歴にある前回の交換日・走行距離を突き合わせて伝えるのが確実です。
- 自動車整備システムで車歴を見られるようにするとき、何を確認すればよいですか?
- 車歴が顧客と車両にひもづいて残るか、見送った見積を残せるか、事務所の外から確認できるかを見ます。整備ソフト おすすめを比べるときも、外で「見るだけ」か「入力までできるか」を分けて確認すると、提案の場面に合うものを選びやすくなります。
- スマホで車歴で、提案のための見積は作れますか?
- 作れません。スマホで車歴は閲覧のみで、編集や追加はできません。外出先で見積まで作る場合は、ノートパソコンで使うお出かけDPを検討してください。
- 車販と整備の両方をしている店では、車歴をどう使えばよいですか?
- 今後かかりそうな整備が車歴に見えていると、修理を続けるか乗り換えるかを、お客様と同じ材料を見ながら相談できます。在庫を見ながら条件を詰めるなら、車両販売システムの情報を外で見られるお出かけDPが向いています。
出典・参考資料
- 国土交通省近畿運輸局「令和7年4月より、車検を受けられる期間が延びます」(令和7年4月1日)
https://wwwtb.mlit.go.jp/kinki/content/000351017.pdf - スマホで車歴(MobileDP)・お出かけDPの仕様(日本カーネット提供資料)
- スマホで車歴の紹介
https://mdp.j-carnet.co.jp/#mobiledp - お出かけDPの紹介
https://mdp.j-carnet.co.jp/#odekake
記載内容は2026年10月8日時点で公表資料を確認したものです。機能・提供内容は整備システム・整備ソフト DREAM POWER の更新で変わることがあります。
整備システムを、事務所の外でも。
スマホで車歴なら、顧客・車両・整備履歴をスマートフォンやタブレットでいつでも確認できます。お出かけDPなら、ノートパソコンを持ち出して、お客様先でもいつもどおり見積まで作れます。料金は整備システム・整備ソフト DREAM POWER の案内ページか資料請求でご確認ください。
お電話:03-5256-7877平日 9:00〜12:00・13:00〜18:00







