整備工場の効率化はどこから手をつけるか|1日30分を取り戻す5つの改善

整備工場の効率化というと大きな設備投資を思い浮かべがちですが、実際に時間を食っているのは、記録に残らない細かい作業の積み重ねです。人を増やさずに同じ台数をこなすには、まずこの「見えない時間」を削るのが近道になります。

ここでは、多くの工場で共通して効果が出やすい5つの改善ポイントを、着手しやすい順に挙げます。

1. 同じ情報を二度書いている場所を探す

受付票に書いた内容を伝票に書き直す、伝票の内容を請求書に転記する、整備で登録した顧客を販売側の台帳にもう一度登録する。二重入力は時間を取られるうえ、転記ミスの温床になります。

やること

  • 1台の入庫から納車・請求までに、同じ情報を何回書いているか数える
  • 顧客・車両・整備履歴・伝票・請求が1つのデータでつながっているか確認する
  • 整備と車販で別々のソフトを使っているなら、統合できないか検討する

顧客管理、車輌管理、台帳管理、伝票作成、入金管理、請求書作成が1つのシステムでつながっていれば、入力は原則1回で済みます。

2. 「事務所に確認する電話」をなくす

引き取り先や部品商とのやり取りの最中に、事務所へ電話して整備履歴や品番を調べてもらう——この時間は外にいる人と事務所の人、2人分を消費します。事務所のフロントが電話対応で手を止めれば、来客や車検案内の電話に出られなくなります。

やること

  • 1週間、この種の電話が何回発生したか数える
  • 外出先のスマートフォンやタブレットから整備履歴・顧客情報・売掛を確認できるようにする
  • 顧客・部品商への発信を、会社のデータからそのまま行えるようにする

1回3分の確認電話が1日10回発生していれば、月20日で10時間。2人分と考えれば20時間相当です。

3. 書類の手書きをやめる

継続検査申請書、重量税納付書、自動車検査票、主要諸元表、OCR専用2、専用3号、指定整備記録簿、点検整備記録簿。これらを手書きしていると、1台あたりの所要時間に加えて、書き損じによる書き直しが発生します。

やること

  • 自社で手書きが残っている書類をすべて洗い出す
  • 整備システムの申請書類作成機能で出力できるか、帳票名で突き合わせる
  • 記録簿はパソコンやタブレットでの作成に切り替える

記録簿については、車検証の内容をもとに検査基準をシステムが判定し、記入漏れや基準値違反を警告してくれる仕組みなら、作成時間の短縮とチェック品質の向上を同時に得られます。

4. 車検案内を仕組みで回す

整備工場の売上はリピートに支えられています。車検の満了日が近い顧客に案内を出せているかどうかが、そのまま入庫台数に跳ね返ります。しかし手作業でリストを作って葉書を出す運用は、忙しい月ほど後回しになりがちです。

やること

  • 車検満了日から自動でリストが出る状態にする
  • 案内の手段を葉書・電話・SMSで使い分ける(電話に出ない層にはSMSが有効)
  • 案内した/しなかったの記録を残し、次回に活かす

車検案内の自動化やSMS送信、CTI(着信時に顧客情報を表示する仕組み)に対応した整備システムであれば、担当者の記憶や気合いに頼らずに回せます。

5. 部品発注の待ち時間を短くする

部品待ちで作業が止まると、ピットの回転が落ちます。過去に取り付けた部品と同じものを手配したいのに、品番が事務所のパソコンの中にあるために発注が後ろ倒しになる——よくあるロスです。

やること

  • 作業中のスタッフが自分で過去の品番を確認できるようにする
  • その場から部品商へ電話・SMSで発注できる導線をつくる
  • 純正部品価格データを搭載しておき、見積時点で金額を確定させる

着手の順番

優先度 改善 効果が出るまで
二重入力の解消 導入直後から毎日
外出先からの車歴確認 導入直後から毎日
書類のシステム作成 操作に慣れる1~2か月後から
車検案内の仕組み化 案内サイクルが一巡する数か月後
部品発注の短縮 導入直後から

効率化を測る指標を決めておく

「なんとなく楽になった」で終わらせないために、導入前に数字を取っておくことをおすすめします。

  • 1台あたりの受付から請求までの事務時間
  • 記録簿1枚の作成時間
  • 1日に発生する「事務所への確認電話」の回数
  • 車検案内の到達率と、案内からの入庫率
  • 月末の請求処理にかかった日数

導入から3か月後に同じ項目を測れば、投資の効果を具体的に説明できます。次の設備投資の判断材料にもなります。

まとめ

整備工場の効率化は、大がかりな改革よりも毎日必ず発生する小さな作業を削るほうが確実に効きます。二重入力と確認の電話は、どの工場でも必ず出てくる二大ロスです。まずこの2つから手をつけると、投資の効果が実感しやすくなります。

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