営業先でお客様に「前回のオイル交換はいつだった?」と聞かれ、事務所に電話して折り返す。出張整備の現場で部品の品番がわからず、作業を止めて確認を待つ。整備工場や車販店では、こうした「会社に戻らないとわからない」が毎日のように起きています。この記事では、外出先から整備システムを使う方法を、総務省のテレワークセキュリティガイドラインにある接続方式の分類に沿って整理し、それぞれの向き不向きと注意点を解説します。後半では、整備システム・整備ソフト DREAM POWER を外で使う2つの方法も紹介します。
外出先で整備システムの情報が必要になる場面
整備工場や車販店で、事務所の外にいるときに整備システムの情報が欲しくなる場面は、大きく分けて4つあります。1つ目はお客様先や営業先での商談です。下取り車の整備履歴や、そのお客様が持っているほかの車両を知っていれば、提案の幅が変わります。2つ目は出張整備や引き取り納車の現場で、前回の作業内容や使った部品の品番を確かめたいとき。3つ目は別の工場や店舗にいるときにかかってくる問い合わせ。4つ目は社長や工場長が外出中に、売上や残高の様子を見たいときです。
どの場面にも共通するのは、知りたい情報そのものはすでに整備システムに入っています。顧客の住所も、車両の車検満了日も、過去の整備内容も、事務所のパソコンを開けば数十秒で出てきます。問題は「その場にパソコンがない」ことだけで、情報が足りないわけではありません。だからこそ、外から整備システムにどうつなぐかを決めておくと、電話の往復や「持ち帰って確認します」が目に見えて減ります。
| 場面 | 知りたい情報 | その場で必要な操作 |
|---|---|---|
| 営業先・お客様先 | 保有車両、整備履歴、在庫車 | 確認と見積作成 |
| 出張整備・引き取り | 前回の作業内容、部品の品番、住所と地図 | 確認と電話発信 |
| 別の工場・店舗 | 他拠点のお客様の整備履歴 | 確認 |
| 社長・工場長の外出中 | 顧客の残高、車両の状況 | 確認 |
外出先で整備システムが要るかどうかの判断
外出先から整備システムを使う必要があるかどうかは、1日に何回「事務所に電話して確認する」「会社に戻ってから見積を作る」が起きているかで判断できます。営業担当が1日3件の訪問をして、そのうち1件で折り返しが発生していれば、1か月で20回前後の電話と再連絡が生まれている計算です。必要な操作が「見る」だけなのか、見積作成のような「入力」まで含むのかも分けて数えておくと、後でどの方式を選ぶかがはっきりします。整備システムに情報が入っていて、外にいる人がそれを見られないことが原因なら、接続の仕組みを整えるだけで解決に近づきます。
テレワークの接続方式(VPN方式・リモートデスクトップ方式など)の違い
外から社内のシステムを使う仕組みは、一般にテレワークの接続方式として整理されています。総務省の「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」は、令和3年5月に公表されたもので、基本的なテレワーク方式を次の7種類に分けています。整備工場の外出先利用もこの分類に当てはめると、自社に合うものを選びやすくなります。
| 方式 | ガイドラインの説明(要約) | 整備工場での使い方のイメージ |
|---|---|---|
| VPN方式 | テレワーク端末からオフィスネットワークにVPN接続し、オフィスのサーバ等に接続して業務を行う | 整備システムを入れたノートパソコンを持ち出して社外から接続する |
| リモートデスクトップ方式 | オフィスに設置された端末のデスクトップ環境に接続し、遠隔操作する | 事務所のパソコンを外から遠隔操作する |
| 仮想デスクトップ(VDI)方式 | 仮想デスクトップ基盤上のデスクトップ環境を遠隔操作する | 中小の工場では導入例が少ない |
| セキュアコンテナ方式 | 端末にローカル環境と独立した仮想的な環境を設け、その中でアプリを動かす | 同上 |
| セキュアブラウザ方式 | 特殊なインターネットブラウザを使い、オフィスのシステム等にアクセスする | ブラウザで社内の情報を見る |
| クラウドサービス方式 | オフィスネットワークに接続せず、インターネット上のクラウドサービスに直接接続する | インターネット上のサービスに直接つなぐ |
| スタンドアロン方式 | オフィスネットワークに接続せず、端末や外部記録媒体に保存したデータで業務を行う | 顧客データを入れたパソコンやUSBメモリを持ち歩く |
ガイドラインはVPN方式について、オフィスにいる場合と同じように業務ができ、オフィスネットワーク内のセキュリティ機器を介して接続するためオフィス内と同等のセキュリティレベルを確保できる、と説明しています。一方で、端末にデータを保存できるため、情報の持ち出しや紛失・盗難による情報漏えいのリスクがあり、内蔵記録装置の暗号化やデータの遠隔消去などの対策が重要だとしています。リモートデスクトップ方式は端末にデータを残さない設定ができる反面、通信回線の帯域や遅延の影響を受けやすい、とされています。
VPN方式とリモートデスクトップ方式の違い
VPN方式とは、ノートパソコンなどの端末から暗号化した通信路(VPN)でオフィスのネットワークにつなぎ、端末に入っている業務ソフトを社内にいるときと同じように使う方法です。総務省のテレワークセキュリティガイドライン第5版(令和3年5月)は、オフィスと同等の業務とセキュリティレベルが確保できる一方、端末の紛失や盗難による情報漏えいへの対策が要ると整理しています。リモートデスクトップ方式は事務所に置いたパソコンの画面を遠隔操作する方法で、手元の端末にデータを残さずに済みますが、画面を転送し続けるため回線が細い場所では操作が重くなります。整備システムを外で使うなら、どちらの弱点を受け入れられるかで選ぶことになります。
持ち出しPCをVPNで使うときの注意点
ノートパソコンを社外に持ち出す運用で、事故の原因になりやすいのは通信そのものより端末の扱いです。ガイドラインは、テレワークの環境で情報資産がさらされる脅威として、マルウェア感染、端末や記録媒体の紛失・盗難、通信内容の窃取やのぞき見を挙げ、具体的な脆弱性の例として「電車の網棚に置いた端末入りバッグを失念」「カフェで端末を放置して長時間離席」「画面をのぞき見られる」「推測されやすいパスワードの使用」などを示しています。
整備工場や車販店の外出先に置き換えると、営業車の助手席にパソコンを置いたまま店に入る、お客様の待合スペースで画面を開いたまま席を外す、ログイン用のパスワードを付箋でパソコンに貼る、といった場面が当てはまります。整備システムには顧客の氏名、住所、電話番号、車両情報が入っています。持ち出す前に、次のルールを社内で決めておくと安心です。
- 持ち出す端末は会社が管理するものに限り、台数と担当者を一覧にしておく
- OSやソフトのアップデートを自動で適用する設定にしておく(ガイドラインも勤務者の基本対策として挙げています)
- パスワードは推測されにくいものにし、端末に貼ったりメモを一緒に持ち歩いたりしない
- 人目のある場所では画面の向きに気をつけ、離席するときは画面をロックする
- 紛失したときに誰へ連絡するかを決め、連絡先を担当者のスマホにも控えておく
ルールの細かさは会社の規模で変えて構いません。持ち出すのが社長と営業担当の2人だけなら、紙1枚に5項目を書いて渡すだけでも、何も決めていない状態よりずっと安全です。より詳しい持ち出しルールの作り方は、業務用ノートパソコンを持ち出すときのセキュリティルールでまとめています。
持ち出しPCで先に決めておくこと
業務用ノートパソコンを外へ持ち出すときに先に決めておくことは、誰がどの端末を持ち出すか、紛失したら誰に連絡するか、画面ののぞき見と置き忘れをどう防ぐか、の3つです。総務省のテレワークセキュリティガイドライン第5版は、勤務者の基本対策として、端末の盗難・紛失防止、OSなどの自動アップデートの有効化、推測されにくいパスワードの使用、のぞき見されない環境での作業、インシデント発生時の連絡先の確認を挙げています。整備工場では顧客の住所や電話番号が端末に入っていることが多いため、車内への置き忘れと待合スペースでの画面の放置が現実的な危険になります。
電話確認・紙の控え・個人スマホなど他の方法の限界
外出先で情報を得る方法は、システムにつなぐ以外にもいくつかあります。多くの工場が今も使っている方法と、その限界を並べておきます。どれも手軽で費用がかからないので、外出の頻度が低い会社ならこれで十分な場合もあります。
| 方法 | よいところ | 限界 |
|---|---|---|
| 事務所に電話して確認 | 準備が要らない | 事務所に人がいないと止まる。電話を受けた人の作業も中断する |
| 印刷した顧客台帳や控えを持ち歩く | 電波がなくても見られる | 印刷した時点の情報で止まる。紛失すると個人情報が丸ごと外に出る |
| 担当者の個人スマホに顧客を登録 | すぐ電話できる | 退職や異動で情報が個人に残る。誰が何を持っているか会社が把握できない |
| 顧客データをUSBメモリで持ち出す | パソコンがあれば見られる | ガイドラインのスタンドアロン方式に当たり、媒体の紛失・盗難リスクがある |
| 汎用のリモート接続ツール | 事務所のパソコンをそのまま使える | 事務所のパソコンを起動したままにする必要がある。回線が細いと操作が重い |
電話確認の負担は、受ける側に出ます。フロントが受付中にかかってきた確認の電話に出ると、目の前のお客様を待たせることになります。印刷した台帳や個人スマホへの登録は、便利さと引き換えに情報の管理を担当者個人に預けてしまう方法です。担当者が辞めたあとも、お客様の電話番号が個人の電話帳に残り続けます。顧客情報は担当者個人でなく会社が持つ、という線を引いておくと後で困りません。
電話確認と個人スマホ登録が抱える問題
外出先からの情報確認を事務所への電話で済ませる方法は、準備が要らない代わりに、事務所に誰かがいることと、その人が手を止めることを前提にしています。小規模な整備工場ではフロントが1人ということも多く、受付や会計の最中に確認の電話が重なると、両方のお客様を待たせることになります。担当者の個人スマホに顧客の電話番号を登録する方法は、すぐに電話できる反面、会社として誰がどの顧客情報を持っているか把握できなくなります。退職や異動のたびに情報が個人の端末に残るため、整備システムの顧客情報から直接発信できる仕組みのほうが管理しやすくなります。
閲覧か入力かで選ぶ「スマホで車歴」と「お出かけDP」
ここからは、整備システム・整備ソフト DREAM POWER をお使いの場合の、外で使う2つの方法を紹介します。考え方はシンプルで、外で「見る」だけでよいならスマホで車歴、外でも「いつもどおり操作したい」ならお出かけDPです。
スマホで車歴は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER に登録してある顧客・車両・車歴(整備履歴)を、スマートフォンやタブレットのブラウザで閲覧できる仕組みです。サイトにアクセスしてログインするだけで、アプリのインストールは要りません。複数の端末で同時に見られ、台数の制限もありません。事務所のパソコンで整備システムが起動していない時間でも閲覧できます。顧客の住所から地図やルートを確認したり、登録してある電話番号にスマートフォンの電話機能で発信したり、SMSを送ったりできます。ただし閲覧専用で、編集や追加はできず、顧客・車両・車歴以外の情報は見られません。データは1日1回自動で同期され、当日の入力を急いで反映したいときは「データ同期開始」ボタンを使います。
お出かけDPは、すでに整備システム・整備ソフト DREAM POWER がインストールされているノートパソコンなどに設定を入れて、そのまま外へ持ち出して使うオプションです。外出先からの接続にはVPNを利用した暗号化通信を使い、設定は日本カーネットがサポートします。ガイドラインの分類でいえばVPN方式に近い使い方で、車両在庫の確認、見積作成、顧客情報や整備履歴の確認まで、社内と同じ操作ができます。会社に戻れば同じパソコンをそのまま社内で使えます。
| 比べる点 | スマホで車歴 | お出かけDP |
|---|---|---|
| 使う端末 | スマートフォン、タブレット、パソコンのブラウザ | 整備システムをインストールしたノートパソコンなど |
| できること | 顧客・車両・車歴の閲覧、電話発信、SMS送信、地図の確認 | 見積作成、在庫確認など社内と同じ操作 |
| 編集・入力 | できない(閲覧のみ) | できる |
| スマートフォン | 使える | インストールできないため非対応 |
| 向いている人 | メカニック、フロント、社長 | 外回りの営業担当、出張の多い担当者 |
2つの方法をどう組み合わせるかは、外出先で使う2つの方法の比較にもまとめています。営業の場面での使い方は営業先でその場で見積を作る商談の進め方で詳しく紹介しています。
スマホで車歴とお出かけDPの使い分け
スマホで車歴とお出かけDPの使い分けは、外で必要な操作が「見る」か「入力する」かで決まります。スマホで車歴は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER の顧客・車両・車歴をスマートフォンやタブレットのブラウザで閲覧する仕組みで、アプリのインストールは不要、台数の制限もありませんが、編集や追加はできません。お出かけDPは、整備システムを入れたノートパソコンを持ち出し、VPNを利用した暗号化通信で接続して、見積作成まで社内と同じように使うオプションです。作業場や現場で前回の品番を確かめるメカニックにはスマホで車歴、訪問先で見積を作る営業担当にはお出かけDP、という分け方が基本になります。
外出先利用を始める前に確認すること
どちらの方法も、使い始める前にいくつか確認しておくことがあります。スマホで車歴は、整備システム・整備ソフト DREAM POWER が入っているパソコン(親機)で、最初に1度だけ初回設定を行う必要があります。推奨ブラウザはGoogle ChromeやMicrosoft Edgeで、Internet Explorerには対応していません。設定がわからない場合は日本カーネットのサポートが案内します。
お出かけDPには、知っておきたい制約があります。別の拠点用の整備システムとして常時使う使い方は対象外です。親機の持ち出しは推奨されておらず、持ち出した親機のインターネット接続が切れると子機の動作が不安定になるためです。逆に、整備システムを1台だけで運用している場合は、このオプションなしで持ち出して使えます。既存のパソコンを持ち出せるようにする場合は追加ライセンスが不要ですが、新しいパソコンにソフトを入れて持ち出す場合は別途ライセンスとインストールの費用がかかります。無料のお試しはなく、整備システム・整備ソフト DREAM POWER をご利用中のお客様向けのオプションです。詳しくはお出かけDPの説明をご覧ください。
複数の工場や店舗を持つ会社では、別の拠点にいるときに整備履歴を確認する用途が出てきます。お出かけDPは拠点間の常時利用に対応していないため、閲覧をスマホで車歴で行うのが現実的です。考え方は別の工場にいるときの整備履歴の確認方法で整理しています。
よくある質問
- 外出先から整備システムを使うには、VPNが必要ですか?
- 入力や見積作成まで外で行うなら、社内ネットワークに安全につなぐ仕組みとしてVPNを使う方法が一般的です。総務省のテレワークセキュリティガイドラインでもVPN方式は基本的な方式の1つとして整理されています。見るだけでよいなら、スマホで車歴のようにブラウザで閲覧する方法もあります。
- スマートフォンで見積を作れますか?
- お出かけDPはスマートフォンにインストールできないため非対応です。スマートフォンでは、スマホで車歴で顧客・車両・車歴を閲覧できますが、編集や追加はできません。見積はノートパソコンで作成してください。
- 自動車整備システムを選ぶとき、外で使えるかは比較したほうがよいですか?
- 営業担当や出張整備のメカニックがいる会社なら、比較の軸に入れておくと後悔が少なくなります。自動車整備システムの選び方全体は整備ソフト・整備システムの選び方でまとめています。
- 整備システムを1台で使っています。持ち出すのにオプションは要りますか?
- 1台だけで運用している場合は、お出かけDPなしで持ち出して使えます。親機と子機で運用している場合は、親機の持ち出しは推奨されていません。
- 料金はどこで確認できますか?
- 料金は整備システム・整備ソフト DREAM POWERのページ、または記事末のお問い合わせからご確認ください。
出典・参考資料
- 総務省「テレワークセキュリティガイドライン(第5版)」令和3年5月
https://www.soumu.go.jp/main_content/000752925.pdf - 総務省「テレワークにおけるセキュリティ確保」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/ - スマホで車歴(MobileDP)・お出かけDP 製品資料(日本カーネット提供資料)
記載内容は2026年10月8日時点で公表資料を確認したものです。機能・提供内容は整備システム・整備ソフト DREAM POWER の更新で変わることがあります。
整備システムを、事務所の外でも。
スマホで車歴なら、顧客・車両・整備履歴をスマートフォンやタブレットでいつでも確認できます。お出かけDPなら、ノートパソコンを持ち出して、お客様先でもいつもどおり見積まで作れます。料金は整備システム・整備ソフト DREAM POWER の案内ページか資料請求でご確認ください。
お電話:03-5256-7877平日 9:00〜12:00・13:00〜18:00







